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福岡高等裁判所 昭和24年(つ)908号 判決 1949年11月18日

被告人

村上重雄

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

所論の如く、原審第一回公判において檢察官が証拠として取調を請求した(一)現行犯人逮捕手続書(二)栗崎隆明に対する檢察事務官作成の供述調書(三)上野トミ子に対する檢察事務官作成の供述調書(四)上野安子提出の始末書については、被告人及び弁護人において之を証拠とすることに同意しなかつたことが明かであるから、刑事訴訟法第三百二十條以下の規定により之を証拠とすることは許されないわけであるが、他面同法第三百二十八條により公判期日における被告人の供述の証明力と爭うためには之を証拠とすることが出來るものであるところ、原審第一回公判調書の記載によれば、同公判期日において被告人が本件控訴にかゝる竊盜未遂の事実を否認する旨供述した後に、檢察官において前記第三百二十八條の規定により右供述の証明力を爭うための証拠として前記各書面の取調方を請求し、原裁判所もその趣旨における証拠として之等を取調べたことが明かであるから、原審の右証拠調手続は適法に行われたものと云わねばならない。(尤も裁判所として、斯る反対証拠については、之により証明力を爭う対象とされている証拠及びその如何なる部分と如何樣に関連するものであるかを指摘して提出するよう、之が提出者に対し適宜の指揮を爲すことが、望ましい所ではあるが、本件の如き相手方から特にこの点につき何等の意思表示を爲されていない場合、敢えて斯る訴訟指揮を爲さなかつたからと言つて、右証拠調の手続を以て不法のものと断ずることは出來ない)從つて、右論旨は結局その理由がないものと言ふべきである。

以下省略

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